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富士山噴火の歴史: 万葉集から現代まで(”つじちゃん”の本。)

富士山噴火の歴史: 万葉集から現代まで

富士山噴火の歴史: 万葉集から現代まで

※つじちゃん=都司嘉宣先生→関連記事その1 その2
地震津波の専門家としてNHKでよく出てこられる先生です。図書館の書棚で「富士山噴火」が目につき、手に取って見るとあの都司先生のご本ということで、阪神淡路大震災19年目の日に読みました。
表紙には、

世界遺産となった富士山の噴煙たなびくかつての姿を、古地震研究者である著者が、古典や古文書の中から鮮やかに浮かび上がらせる。

とあります。
産経新聞の地方版(静岡、神奈川、山梨)の連載をまとめたもの+αだそうです。
万葉集』にはじまる古典や古文書の中にある富士山に関する表現・記述に着目し、その書かれ方から「富士山が噴煙を上げていた時期」を探ろうというもので、読者へのサービス精神旺盛な書き方もあいまって、推理小説を読むときのような感じで先へ先へと一気に読んでしまいました。
総括すると、

p.259
700年から1991年までの約1200年間のうちで、富士頂上火口に噴煙のあった時期を時間積算(江戸中期を含め、安政東海地震後の荒巻の噴気・地熱を無視する)すれば、じつに約650年ものあいだ、噴煙がたなびいていたことになる。つまり歴史の時代を長い目でみれば富士は半分の時期は浅間や阿蘇とおなじく日本列島を代表する活火山でありつづけたのである。
現代は、東京などの遠方から見て噴煙が見られない時期が約300年もつづいてきた時期にあたっている。こんなことは長い富士の噴煙史上にはなかったことである。つまり富士は噴煙のない状態が長くつづいた今のほうが異常なのだ。
(太字はlionusによる)

う〜む。そうなのか。
しかも、本書では東海沖を震源とする大地震(東海地震)をはじめとする日本太平洋側の大地震と富士山の噴火活動活発化との関係も示していて、実際に2011年の東日本大震災の4日後に富士山直下で発生したM6.4の地震と、東日本大震災地震との関連性が”ない”とするのはもう少し長期間の観察が必要であるとも書いておられます。
富士山噴火にも警戒 東日本大震災を機に火山活発化か 内閣府(Exciteニュース)
東京直下の大地震も十分怖いですが、その地震に引き続いて富士山噴火も起こったら、というのは考えたくないですが考えておく必要はありますよね・・・