経営の行動科学―新しいマネジメントの探求/組織の行動科学―ヒューマン・オーガニゼーションの管理と価値(「連結ピン」機能はよく引用されている印象。)
- 作者: R.リッカート,三隅二不二
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1964
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組織の行動科学―ヒューマン・オーガニゼーションの管理と価値 (1968年)
- 作者: 三隅二不二,R リッカート
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1968
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以前に読んだ経営学(組織論)の教科書で、「連結ピン」機能が引用されていて、気になったので読んでみました。
その教科書では、中間管理職は連結ピン機能を担い、”上”と”下”をつなぐ役割がある的なことが書いてあったのですが、どうもピン*1とこなかったのですね。
『経営の行動科学』p.225
リーダーは組織の他部門に彼の集団を連結させる機能を果しているが、彼はこれらの他の集団に自分の集団の見解、目標、価値および意思決定を、十分反映させ、効果的な影響を与える。一方、リーダーは、これらの他の集団の見解、目標および意思決定について自分の集団に知らせる。このようにして、彼は、コミュニケーションおよびその影響が両方の方向に行なわれるように連結を与えるのである。
組織体においては、その全体的な目標と成員のそれが合致するとき高度に効率的になりうるし、またその目標が(その組織体がある社会全体にとって)「良い」とき、その組織体は強い集団になりうるということが他のところで書かれていたのですが、そのためにはトップダウンだけでなくボトムアップのコミュニケーションがスムーズであることが必須であり、連結ピンはその要になる存在であるということなんだな、と理解できた気がしました。
また、その同じ経営学の教科書で、組織構造で「マトリックス組織」というものが出てきて、ん〜なんかややこしそうな構造だな、かえって非効率的なんじゃないの?とか思っていたのですが、これは会社=上意下達的なシステムということを念頭に置いた場合の印象であることも後者を読んで感じました。
『組織の行動科学』p.201
満足できる解決を行なうには、組織というものは広範な機能化が達成され、かつ相違点が解消され、同時に製品別または地域別に有効な統整が達成されるようなものでなければならない。このような組織には、縦と横の有効な統整がつねに必要である。この条件に合致するためには、組織は少なくとも、機能的ラインを経由するものと製品別または地域別のラインを経由するものといった二つ以上の意思決定および統整の系統をあわせもつ必要があろう。
『組織の行動科学』pp.201-202
このような組織のなかの人は、通常二つ以上の上司をもつことになる。
『組織の行動科学』p.202
このような意思決定や影響の過程では、少なくとも二つ以上の経路またはラインがあるため、初めの時期には、葛藤を生じたり、また、ときとして本質的な葛藤を生ずるが、必ずや統整を達成することができるにちがいないのである。
上記で言われているのは所謂「マトリックス組織」のことになるのでしょうが、形だけでなくシステムというか運用もそれにマッチしたものに変えないと、その利点が生かせない(上司が二人以上とか、かえってややこしくなる)のだと思いました。
*1:だじゃれではありません。