京都花街の経営学(ちょっとだけ行かせていただいたことはあります。)
- 作者: 西尾久美子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 単行本
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この記事で紹介されていたので,思わず読んでしまいました。
博士論文をもとにして書かれた本だそうですが,中身はこなれていて,サクサク読めます。
外からはなかなか窺い知ることのできない「京都の花街」システムについてよくまとめられています。
特定の一人に頼ることなく,業界内で情報を共有し,顧客の満足度を常にチェックし,取引関係に反映する。しかも規模拡大を目指さずに,価格競争を避けて質の高いサービスを提供し続けるための努力に経営資源を投入する。
右肩上がりが期待できないこのご時世,「規模拡大を目指さず」に,「情けは人のためならず」のごとく持ちつ持たれつで,サービス業としての競争力を粘り強く保持するシステムは興味深かったです。
また,サービスを提供する表舞台の”主役”である芸舞妓の育成は,多くの人の並々ならぬ工夫と努力の上に成り立っているのだなあと感銘を受けました。
「かしこい妓」とは,全体の中で自分のことがわかり,だからこそ自分のもち場を知り,個性を磨こうと努力する芸舞妓さんたちのことである。そして,その努力をわかってお座敷をかける顧客がいることで,京都花街は長年成り立ってきたのだ。
芸舞妓さんだけでなく,こんなセンスをもった人なら何処に行っても必要とされる人材ですよね!