lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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第60回正倉院展。

第60回正倉院展(2008年10月25日〜11月10日)
今年も行ってきました。昨年(第59回)は行けなかったので,2年ぶりです。
今年8月に奈良国立博物館の夏季講座に参加した時,博物館の方が「閉館前1〜2時間は比較的空いております」というようなことをおっしゃっておられたので,今回は仕事帰りの晩に突撃してみました。
近鉄奈良駅の営業所で,割引券を買おう・・・としたら,lionusの前におられた男性の方が駅員さんに「今からやと向こうで買っていただくと700円で入れるんですわ」と言われていたので,「?」と思いつつ,これはラッキ〜と現地に急ぎました。
閉館1時間半前に現地で券を買うと「オータムレイト」という割引価格で入館できるということです。
いつもならまず入館前に長蛇の列を覚悟しなくてはならないのですが,閉館1時間半前を切っていた当日は,列はなく,するりと入ることができました。
館内はそれなりに盛況で,人の頭の間から展示物を拝むことはありましたが,昼間のぎゅうぎゅうイモ洗い状態よりはずっと空いていて,落ち着いて見学できました。
今回の展示物の目玉の一つである,ササン朝ペルシアからもたらされた白瑠璃碗は写真よりずっとずっと繊細で綺麗でした。ほぼ同型のカットグラスが,原産地で埋葬物として出土したものも参考出展されていましたが,長く土に埋もれていたため,劣化して輝きはほとんど失われていました(それでも美しいですが)。当時作られたもののうち,当時と変わらぬ姿を残すのは,正倉院の中で大切に保管されてきたこの白瑠璃碗ひとつのみだそうです。
ところで,会場に入ったとき「ド,レ,ミ,ファ,ソ,ラ,シ,ド」と素朴な笛の音が小さく聞こえてきたので,はて?と思ったら,刻彫尺八の展示と,それを試しに吹いてみた時の録音がエンドレスに流れていたのでした。千年以上前の笛の音を今聴いていることに,不思議な気分がしてくらくらしてしまいました。
その他にもたくさん,千年以上前のものとは思えない精巧で美しい品を拝見できて癒されました。
来年もオータムレイト狙いで行こうと思います。