lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

飛行船流行り。

月1の研究会に参加してきました。
高校の先生が,ご自分の担当クラス(情報科)で「マジカルスプーン」を取り入れた授業実践を報告されていました。
マジカルスプーンについてはlionusはあまりよく知らないので,詳しくは→google:マジカルスプーン
マジカルスプーンについては,過去にも高校における授業実践の報告が散見されるので,何で今マジカルスプーンなのかという疑問はありましたが,今回報告されたのをきっかけに高大(高大学院?)連携の話などされている様子だったので,ご本人的には収穫があったのならよかったのではないかと思います。
その後,id:mkawanoさんのSqueakやScratchを使ったプログラミング(導入)教育の実践についての報告がありました。
プログラミングには全然詳しくないですが,とっても楽しかったです。
また,自分が担当する授業のどこかで使ってみたいと思わせる魅力がありました。
ただでさえ内容盛り沢山のリテラシー科目の中に組み入れるのは難しいかとは思いますが,担当者がSqueakやScratchをよく理解した上で,おいしく口当たりよく導入用に教材をまとめてあげることができれば,JavaScriptやExcelVBAをちょこっと扱うよりも,楽しいプログラミング導入体験になるのではないかと思いました。*1
本日の会の中でも出ていた話ですが,子どもにさせるのもいいが,ある程度成熟した大学生に使わせることこそ意義があるのではないかとlionusも思いました。
高校の「情報」ではあえて以下の本に扱われているようなアンプラグドな情報教育の機会を設け,

コンピュータを使わない情報教育アンプラグドコンピュータサイエンス

コンピュータを使わない情報教育アンプラグドコンピュータサイエンス

  • 作者: Tim Bell/Ian H.Witten/Mike Fellows,Matt Powell,兼宗進
  • 出版社/メーカー: イーテキスト研究所
  • 発売日: 2007/09/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大学でSqueakやScratchを使ったプログラミング導入体験をするといいのではないかなぁと妄想しました。
ただし,以上は文系の発想であり,理系学部ではまた別の考えもあると思います。
先日,非常勤の同僚と話をしていて思ったのは,リテラシー科目,あるいは一般情報教育の捉え方が人によって全く違うということです。
lionusは情報科学を系統立てて学んだわけでもなく,ただ,心理学徒としてコンピュータを利用するうちに,どさくさ紛れに「パソコンの使い方」を教える立場となった人間です。しかし,その途中で,この研究会にご縁ができてから,情報教育を例えば心理学をやるための道具としてではなく,何かもっと別なものとして考えるようになりました。
しかし,先日お話をした同僚は,経済学徒であり,情報教育は経済学(あるいは他の特定学問分野)を不自由なくやるために必要であるという視点に立っているようでした。
かつてlionusもそのような限定的な視点からしか,一般情報教育を捉えることができていなかったことを,改めて思い出しました。
心理学なり,経済学なりを上手に勉強するための道具として情報教育を考える立場からは,Squeakにしろ,Scratchにしろ,いかに楽しくプログラミング(らしきもの)ができる可能性があったとしても,それはWordやExcelPowerPointのように,大学での心理学や経済学の学習活動に直接的に役立つものでない限りは「余計なもの」としてみなされてしまいます(みなされがちです)。
SqueakやScratchを使い,プログラミング導入教育をする,説得力のある意義とは何だろうと思ってしまいました。個人的にはJavaScriptでもExcelVBAでも,SqueakやScratchでも,何でもいいと思うんですけれどもね!
かつて某所の必修リテラシー科目(通年)において,天からのお達しによりExcelVBAによる「プログラミング入門」的な5〜6回ほどの授業をおこない,受講生(+学生TA)からの根強いブーイングを受けていた身からするとちょっと考え込んでしまうテーマです(涙

*1:どうも教育においては苦労とか禁欲的な姿勢を学生に要求する傾向がありますが,「楽しい」というポジティブ体験を最初に味わせないと,その先の動機付けにならないと思うんですよね。