lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

日本列島・好まれる色 嫌われる色―カラー・ダイアレクトとテースト・バラエティー(緯度で色の見え方が変わるなんて。)

地球の赤道地帯には,短波長の光の壊れ方の少ない状態の白光が,高い照度で照らしているのにたいし,南北の極地帯では,短波長の光の壊れ方の進んだ状態の自然光*1が,低い照度で照らしている。さらに,その中間地帯は,南北とも,短波長光の壊れ方の進行段階差と「照度差」が,グラデーション状に各緯度を染分けている。

日本の国土は南北に長いため,南(沖縄)と北(北海道)では照らしている自然光の色合いが違い,しかも緯度の違いに加え晴天(からっと)の多い太平洋側と,曇りの日(どんより)の多い日本海側という差異があり,当たる自然光の性質から大きく4つのエリアに分けられるそうです。
そして,その自然光の違いが地域による色の好みに強く影響しているということです。
具体的にいうと・・・

  • 南北の軸:日本アルプス連峰と考えられ,それより北は「青っぽい」光が照らしているので,青みを帯びた光のもとで映える寒色系が好まれ,逆に南は自然光が「赤っぽい」光のため,暖色系が好まれる。
  • 東西の軸:太平洋沿岸地域では晴天が多く,明るい光のもとで映えるさえた色(清色系)が好まれ,反対に日照時間の少ない日本海沿岸地域では渋い色(濁色系)が好まれる。

以前の日記で晴れた冬の日の午後に見た阪急電車のマルーン色が冬陽に光って美しかったと書きましたが,この本を読むと,マルーン色によく似たアズキ色の電車が関東ではなんとなく不評で,いつの間にか姿を消したということが書かれています。
赤み(暖かみ)を帯びた光の指す関西ではマルーン色は映えても,青みを帯びた光の関東では,アズキ色は濁ってしまい美しく見えないということです。

*1:青っぽい光。