日本人の声 (日本語音声の研究)(ポーズは大切。)
- 作者: 杉藤美代子
- 出版社/メーカー: 和泉書院
- 発売日: 1994/11/01
- メディア: 単行本
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そういえば,落語など喋る芸も,「間」の大切さは強調されていますしね。
詳細な言語実験や,会話分析により,じりじりと結論に迫っていく内容は濃かったです。
その中でも,抜群の切れ味を示す研究は,「サケ・マス交渉」のニュース録音材料を使ったものです。ニュース録音から,(a)ポーズ部分を除去した発話のみの音声(全体の78%)と,(b)ポーズも発話も含めた全体をやはり78%の長さに圧縮したものとを被験者に聞かせたところ,(b)のほうが聞きやすく理解しやすい,(a)は早口で喋って何を言っているのか分からないが,(b)はそれよりもゆっくり喋ってくれるので分かる,といった結果になったそうです。
発話速度は,丸ごと圧縮の(b)のほうが速いのですが,ポーズが無いため,(a)のほうが人間の感じ方として早口に聞こえるという話です。
ゆっくり喋ることは必要ですが,少々早口でも,必要なところに「間」を入れることにより,伝わりやすさが確保されるというわけですな。