失敗の本質―日本軍の組織論的研究―
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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米軍との比較で旧日本軍の”ダメなところ”をきちきちと詰めている内容で,これは確かに定番になりうる本だわと思いました。
しかもそれだけでなく最終章の締めで,こんなことが書かれているのです。
pp.282-283
そして,高度情報化や業種破壊,さらに,先進地域を含めた海外での生産・販売拠点の本格的展開など,われわれの得意とする体験的学習だけからでは予測のつかない環境の構造的変化が起こりつつある今日,これまでの成長期にうまく適応してきた戦略と組織の変革が求められているのである。とくに,異質性や異端の排除とむすびついた発想や行動の均質性という日本企業の持つ特質が,逆機能可する可能性すらある。
さらにいえば,戦後の企業経営で革新的であった人々も,ほぼ四〇年を経た今日,年老いたのである。戦前の日本軍同様,長老体制が定着しつつあるのではないだろうか。米国のトップ・マネジメントに比較すれば,日本のトップ・マネジメントの年齢は異常に高い。日本軍同様,過去の成功体験が上部構造に固定化し,学習棄却ができにくい組織になりつつあるのではないだろうか。
日本的企業組織も,新たな環境変化に対応するために,自己革新能力を創造できるかどうかが問われているのである。
これ,今ならそうだーそーだその通りだー,となるでしょうが,
本書の初版は,1984年ですよ!
80年代といったら,日本的経営がもてはやされてイケイケドンドンだった頃ではなかったでしょうか?(当時大人でなかったので伝聞的印象ですが)
その頃にこういった危惧がちゃんと書けているのはすごいと思いました。
その他,日本軍の組織論なのですが,現在の日本の大学の状況にも通じるような記述が・・・