lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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「履修履歴」面接

「履修履歴」面接─導入、質問、評価のすべて

「履修履歴」面接─導入、質問、評価のすべて

「履修履歴」面接とは、ざっくりいうと採用面接において大学の「成績表」を見ながら、大学でどのような学習活動をしてきたのか、角度をいくつか変えて質問することにより、学生の”素の姿”をあぶり出すという感じかなと把握しました。
エントリーシートなどでよくある「大学時代に一番力を入れたこと」のような問いかけでは、学生が話を”脚色”したり、”盛る”ことを避けられないため、”コミュ力”はあるかもしれないけれども、採用後働き始めてから「あれっ?」と思うケースもある。そこで、やらなければいけないこと=大学の授業への対応を客観的に見られる「履修履歴」をツールに面接をして、「低モチベーション下」での行動(やりたくないけれどもやる必要があることへの対応)を推察してみようじゃないか、という感じでしょうか。
こーいう話、昔どっかで見たぞ、と思ったら、2012年に筆者が現・代表となっているNPO法人の存在を確認していました(当時、記事にしようとしてやめた形跡が・・・)。
http://npo-dss.com/
現在はさらに、大学成績データベース(学生の「履修履歴」を参照しやすくするための、という目的らしい)を提供する会社もできています。
http://dscenter.co.jp/
で、本書では上記のように成績表を活用することについての「誤解」に対する反論もしています。

  • 誤解1 成績表活用は成績重視である
  • 誤解2 履修履歴活用は学業の興味レベルを知るためのもの
  • 誤解3 学生は授業に出ていないから、聞いても意味がない
  • 誤解4 履修履歴を活用すると学生の不興を買う
  • 誤解5 面接時間が長くなる

なかなか興味深かったです。
個人的には「低モチベーション下」での行動を探るという視点が特に面白かったです。
しかししかし。
そうかそうか、「履修履歴」を他人にもきっちり説明できるように学習活動をしてもらわないとか・・・と思っていたら、「日本の競争優位は課外活動にある」などと最後にどんでん返しが!(笑
見出しを見たときは何を言い出すのかと思いましたが、読んでみるとそうか、現状あまりにも勉強していないので、もちょっと勉強しようよ、でも勉強ばっかりじゃなくて今まで通り学生時代に色々な経験もしようね、という話なのねと割と理解できました。
読んでみると色々に突っ込みたくなるところ*1はありますし、自分の組織宣伝の意味合いもある本なのですが、読んでよかったと思える一冊でした。

*1:大学で何を思いどのように勉強してきたのかを知ることが重要なのであれば、大学時代最大のプロジェクト学習である卒論や卒業研究を見て欲しい=就活は卒業後にすべきではないか・・・これは本書の範囲を超えるのですが、等々