企業不祥事の研究
- 作者: 井上泉
- 出版社/メーカー: 文眞堂
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: 単行本
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でも単に企業不祥事の記録と分析だけでなく、副題に「経営者の視点から不祥事を見る」とあるように、本書の後半では企業価値を高め持続的発展をするには何が必要かということに話が進んでいきます。
pp.340-341
日本版スチュワードシップとコーポレートガバナンス・コードがほぼ同時並行的に審議され、ほとんど同じ時期に公表された理由も理解できる。機関投資家の望むガバナンス・スタイルにするが、機関投資家にもショートターミズムに走ることなく、中長期的に企業を見守る姿勢で投資を続けて欲しいという思惑が見える。これは正しい判断と方向付けと思われる。
新しい舞台が企業と機関投資家に用意された。それが2014年という年の位置づけである。今後新しい舞台において観客(国民)の前で立派な演技を演じられるかは、企業と機関投資家がお互いに精進を重ね、本来の趣旨である「会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行う」ことと、「機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促す」ことができるかにかかっているといえよう。
海外機関投資家のお金も入れてもらわないと、(日本)株も上がりませんからね〜ということかなあ。
あとは投資対象の日本企業が本書で述べられているようにコンプライアンス(内部統制)をきっちりやるだけでなく、生産性アップ*1とか”変身!”が必要なのでしょうが、言うは易し行うは難し。
*1:生産性アップも内部統制で企業体質が健全化すれば自ずと伴うものかもしれませんが;でもニワトリタマゴの関係かな