lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

法務の技法

法務の技法

法務の技法

Amazonさんからおすすめされたので読んでみました。
Amazonの「商品の説明」より:

上司、同僚、部下、あるいは他部署といった企業組織内で起こる仕事や人間関係のトラブル、また取引先との日常的な問題を具体例としてあげ、社内弁護士として一線で活躍してきた著者ならではの切り口と文章力で、その解決策を伝えます。使える“小技”が満載!!

Amazonのレビューでは法務だけじゃなく一般のビジネスマンにも役立つ,と複数書かれていますが,組織の中で知的労働に携わる人には広く役立つ小技集だと思いました。
雑誌連載をまとめたものらしく,1つ1つの小技がコンパクトに書かれているので読みやすいです。
個人的には「第4章 文章力アップ」ですっきりした論理的な文章を書くポイントなど,レポートや論文執筆に役立ちそうに思いました。また,「第6章 やる気アップ」は,ある程度自分のペースで仕事を進めることが許されている職種の人には非常に使える小技紹介と思います。

p.272
ホビー(ペットジョブ)
仕事のやる気を出すツール。上司から与えられた仕事だけでなく,自分がテーマを持ってコツコツと取り組み,完成したら会社のためになる仕事(ホビー/ペットジョブ)を,時間を見て少しずつ進めていく。自分から会社に働きかける実感を狙う。
事例 保険会社の社内弁護士Aは,会社のコンプライアンス体制の強化のために採用された。そのために制度や運用の見直しを手伝うだけでなく,自ら個別案件を法的にサポートしていた。あるとき,保険金詐欺を疑われる案件が毎年数件あるが,会社は手を出しかねていると聞いた。Aは,入社前から民暴対策を手がけており,闇社会への資金源を断つために保険金詐欺と闘いたいと思っている。

上は,「第6章 やる気アップ」の小技の1つです。
その他,最近やっていたこと関連で,やさしく本質的なところを説いてくれるような箇所に出会えたのもよかったです。

p.281
経営者は,託された資金によって事業を行い,利益を上げ,株主に還元する立場にあります。しかも,利益が上がれば何をしても良いのではありません。もし,犯罪で収益を上げる集団いなれば,それは暴力団やマフィアです。けれども会社は,社会に受け入れられる存在となって利益を上げなければなりません。
このことから,経営者は,「適法に」「利益を上げる」ことが必要なのです。
ここで,「適法に」という言葉の意味を「リスクを取らずに」という意味に解釈すると,形容矛盾が生じてしまいます。というのも,「利益を上げる」ためには,経営者はリスクを取らなければならず,すなわちチャレンジしなければならず,そうすると「リスクを取らずに」「リスクを取る(チャレンジする)」ということになってしまうからです
このことから,「適法に」という言葉の意味は,「リスクを取らずに」ではないことがわかります。
むしろ,「適切にリスクをコントロールして」という意味に解釈するしか考えられないでしょう。
(太字はlionusによる)