反転授業―基本を宿題で学んでから,授業で応用力を身につける
- 作者: ジョナサン・バーグマン,アーロン・サムズ,山内祐平,大浦弘樹,上原裕美子
- 出版社/メーカー: オデッセイコミュニケーションズ
- 発売日: 2014/05/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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講義が宿題になる――「反転授業」 カーンアカデミーが変えた講義と宿題の関係
2人の高校化学教師による本書では,授業をビデオ収録してオンライン*1に動画をアップし,生徒は宿題として授業ビデオを観てノートを取り,授業では教師に質問をしたり,討論したり,問題を解いたりするなど”アクティブラーニング”的活動をして,学びを深める,という「反転授業」(宿題が授業,授業が課題)を試行錯誤して編み出した経緯が,非常に気楽にコンパクトに読めます。
日頃の授業活動に色々の制約のある初等中等学校の先生には,すぐに「反転授業」を取り入れる,というのは難しいかもしれませんが,大学の先生ならやろうと思えば明日の授業からでもできそうですし,あちらこちらで実践例も聞こえてきています。
しかし,「反転授業」をやろうとすると,まずコース(当該学期の授業)全体の設計をきっちりと行い,コース内容をビデオ教材やテキスト教材,毎回の課題,テスト等に落とし込んで準備作成する必要があります。
従来型の講義型授業をされてきた先生の中には,これらを負担増と思ってしまう方も結構おられるのではないかな・・・と読みながら思いました。
lionusは,コンピュータリテラシー系授業で自作の動画教材を使い始めた2007年度頃から,教師主体の授業進行ではなく,学習者が主体的に進めていくという点で,意識せずに本書で説かれているような「反転授業」的授業のやり方をやってきていたのではないかな〜と,改めて気が付きました。ちょっと心強いですし,本書で筆者の先生方が「反転授業」のメリットと主張している点には禿げしく同意します。
当方未熟者ながら改めて言いたいのは,「反転授業」的授業をやろうとすると,立ち上がり(初年度の準備)は従来型の講義形式よりもずっとずっとずっとしんどいです。しかし,一度型が出来てしまうと,毎回の教壇上での”パフォーマンス”をしなくてもいいし,その労力は机間巡視と学生への働きかけに使える分,効果的で楽しくもありますよ〜ということです。
*1:ネット環境がない生徒にはDVDに焼いて渡すとかしている。