人と動物の日本史3 動物と現代社会。
- 作者: 菅豊
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
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p.44
日本の「動物供養」や「動物慰霊」は,日本人の日常生活と環境観に密接な関係を持つ習慣である。前近代における動物供養は,動物霊を成仏させるとともにタタリを防ぐという二つの目的をもつものであり,日本列島の在来の世界観と仏教的思想が交じり合った儀礼だと説明されてきた。ただし,動物の死にまつわる「動物供養」や「動物慰霊」と称される儀礼は遠い昔だけのことではなく,現在も多様に行われていることは,他国では見られない一つの特徴だといえる。
ふむふむ。
しかし,例えば大学などにある実験動物の「慰霊塔」の類について・・・
p.48
実験動物や料理用の動物などのための現代的な死後儀礼は,上記のような「伝統的」な動物供養とは異なった性格を持っている。確かに儀礼の対象が人の手で殺された動物であるという点は同じだが,人と動物との間の力関係がまったく逆になっているのである。
「力関係が逆」とは?
p.48
底流にある思想がタタリに対する畏怖や自然環境との戦いの危険性などであるのに対し,戦後の動物慰霊に見られる特徴は,人が徹底的な管理をしている上で動物を自己利害のために大量に殺しているという点にある。
従来の伝統的な動物供養では動物>人間だったのが,戦後の動物慰霊では人間>動物という違いがあるということです。
p.67
現在の動物慰霊は,動物の命を消耗品とみなすようになったことに対する正当化の道具という役割を果たすようになったと表現することも可能だ。