人と動物の日本史2 歴史のなかの動物たち。
- 作者: 中澤克昭
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
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最近だと佐竹秋田県知事とプーチン大統領が秋田犬とサイベリアンキャットを贈りあった”わんにゃん外交”などありましたね。
p.46
帝王の地位を得るために争うことを「中原に鹿を追う」という。古代中国の帝王たちは,野獣を狩り,それを神への犠牲にした。「中原に鹿を追う」とは,帝王が遂行すべき国家的な祭祀の犠牲として鹿を確保することで,それが王権の争奪を意味するようになったのである。
へえ〜
p.47 王にとって狩猟は,神との交流であり,軍事の一部でもあった。(中略)
狩猟は,外部(自然)との交流にほかならず,野生動物という象徴的な自然を捕捉(キャプチャー)することは,そのまま権力の体現になった。重視される方法や獲物は,時代や地域によって変化するから,そこに王権の個性をみることもできるだろう。
そして個人的に一番面白かったのは,皇室が鴨場を所有し,「鴨の捕獲と午餐によって接待が行われている(p.67)」ことや,長良川の御料鵜飼を保護していることなど,現在も”狩”との関係が続いていることを述べた上での,この一節。
pp.67-68
あるいは狩猟に限定せず,海洋生物や魚類・鳥類の研究をする皇族が多いことなども,自然のキャプチャーとして視野に入れてみると,現代の王権と野生の関係がみえてくるかもしれない。
こういう分野なら”生ぐさく”なく,”無難”だからかな〜とか何となく思っていたのですが,そういう発想もありかもしれません。