lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

理系のための「即効!」卒業論文術―この通りに書けば卒論ができあがる(極めて真っ当な理系論文の書き方。)

「即効!」とタイトルにありますが,卒業論文(卒業研究)ができなくて切羽詰まった人が読んでも役に立つような「即席!」な方法は残念ながら示されていませんw
卒業しようとする年度の4月から順序立てて効率よくしかも堅実に卒業論文(卒業研究)を進めるためのノウハウが,分かりやすく書かれています。
「理系の」と銘打っていますが,「文系」でも参考になるところは多々あると思いました*1
例えば,卒論のテーマを決める際には,「〇〇について」など漠然(あるいは壮大?)としたものではなく,一定程度絞られた具体的なものでないと手のつけようがないと思うのですが(まともなものを書こうとしなければ何とでも書けるでしょうがw),そのあたりなるほど!と思える3つのポイントを挙げてくれたりしています。

p.20
「具体的なテーマ」3つの要件
研究対象 注目し実験する対象の指定。具体的に5W2Hを指定すべき。
勝利条件 これができたら研究として一段落であるという規準。何はともあれ,ここまではやりなさいという指示。
解決方法 こうすれば解決できるという指導教官の見込み。「誰々の研究例を真似せよ」や「従来手法のここを変えて試してみろ」のように,何をすべきかが明確であるべき。

用語が理系ぽいですが,文系の各分野にも応用可能ではないでしょうか?
ところで,小保方晴子さんの博士論文の"background"がNIHサイトからの大量コピペで作られているとか,小保方さん出身の研究室の他の博士論文でも類似したコピペ論文の存在が指摘されているとか,ニュースで流れています。
本書を読んでいてもつい「小保方さん・・・」と思ってしまいました。

p.79
序論は,卒論においては非常に執筆が難しい章です。なぜなら,研究テーマは指導教官から与えられることが通常であって,卒論生自身が主体的に選ぶことはまれだからです。他人が考えた問題設定の理屈を,さも自分で考えたかのように書くことは,なかなか難しい芸当です。そのため,類似の研究をした先輩の卒論から序論だけそのままコピーしてすませることがしばしばあります。

理系では卒論だけでなく院レベルでも研究テーマは所属研究室のテーマ(プロジェクト)のもとにあることがまずほとんどですから,こーいうことだったんですかね〜

p.80
しかし,やはり自分の研究は,自分の言葉で説明できる程度には理解してほしいものです。知的労働者としての人生の皮切りである卒論で,「序論は適当にコピペするもの」というまちがった認識の洗礼を受けると,のちのち苦労します。というのも,社会人になると,自分の企画を魅力的にアピールする能力が最も求められるからです。研究者が研究資金を獲得するのにも,企業人が社の内外で企画を通すにも,自分の考えがどれほど優れているかを文章で納得させなければならないのです。序論の執筆を安易な手段で逃げず,大事な訓練だと思って正々堂々と戦いましょう。

学部で卒業する人でもこう書かれているのに,ましてや,博士論文ですから。
指摘されている通りであったなら,はああああ〜ため息が出ます。

*1:lionusは論文の作り方を理系に準じている心理系出身なので,文学とかの人がどう思うかは分かりませんが・・・