lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆(Here and Now)

ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆 (朝日文庫)

ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆 (朝日文庫)

広島と長崎で二度被爆された体験をもつ山口彊さん(1916年3月16日-2010年1月4日)*1の自伝です。
被爆体験だけでなく,生い立ちや戦後から現在までの記述は,この人でなくては書けないような重みを感じました。

p.248
どういう状況であっても,人は自分から離れることはできない。だから私は自分が自分であるよう努めてきた。その結果,この年まで生きてこれた。
生きている限り,人生は続く。私にとって広島と長崎の被爆は,それ以前と以後の人生を断絶するほどの出来事だったが,同時に私の人生の上での通過点でしかなかった。
痛みはある。辛い記憶はある。しかし,それも通過点でしかない。惨劇は忘れられないが,人は過去に生きるわけにはいかない。人はいまにしか生きられないからだ。
あえて忘れるでもなく,しがみつくのでもなく,ただ,いまを必死に生きてきたら,それを指して人は「生命力」があるというのだ。