「いい会社」とは何か(「いい会社」ってどんな会社?という素朴な疑問にまじめに答えた本。)
- 作者: 古野庸一,小野泉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/16
- メディア: 新書
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参考文献には心理学や経営学の古典や定番が散見され、また、各種アンケート調査結果や統計をひいて論を展開しており、「ふつうの人」の「素朴な疑問」に対し平易かつ学術的な面も考慮しつつ答えている本です。そういった意味で、新書としては理想的な形のひとつではないでしょうか。
いつかどこかで見かけて気になっていたもので、コンプライアンス付け焼刃で忙しく後回しにしようかと思ったものの、新書だしと軽い気持ちで手に取ったら、実はコンプライアンス研究を側面支援するような内容でした。
本書では「いい会社」を「財務的業績がいい企業」ならびに100年以上の「長寿企業」と操作的に定義して、そのような企業に共通する要因を研究した結果を示しています。
p.107-108
(1)時代の変化に適応するために自らを変革させている。
(2)人を尊重し、人の能力を十分に生かすような経営を行っている。
(3)長期的な視点のもと、経営が行われている。
(4)社会の中での存在意義を意識し、社会への貢献を行っている。
(4)は郷原先生のコンプライアンス論(単なる法令遵守ではなく、社会的要請に適応すること)や、近年のCSRへの注目と一致するところがあり、興味深かったです。
「あるべき論」だけでは迫力不足で、実際の「結果」(この場合は「財務的業績がいい」「長寿」)が伴う証拠がないとダメだよねえと、コンプライアンス本を乱読する中ずっと思っていたので、こういう研究もあるんだなとホクホクしました。