lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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コンプライアンスの知識(事前調整型から事後チェック型行政への移行、という背景にふれられている。日経文庫1)

もひとつコンプライアンス付け焼刃シリーズです。

コンプライアンスの知識<第2版>(日経文庫)

コンプライアンスの知識<第2版>(日経文庫)

コンプライアンス」の解説本なのですが、近年企業コンプライアンスが喧伝されるようになった背景として、企業を監督する行政が従来の事前調整型から事後チェック型へ移行していることがあると、『行政改革大綱』(2000年)から話を起こして流れをざっと解説しているのが特徴的だと思いました。
また、最終章で経営理念の浸透と組織のパフォーマンスについての企業従業員アンケート調査の共分散構造分析結果*1が載っていたのも収穫でした。パフォーマンスといっても主観的尺度*2なのは質問紙法の限界かと思いますが、経験的に言われてきたこと(経営理念が浸透すれば、組織のパフォーマンスは改善する;すべての鍵を握るのは「上司の理念に対する姿勢」、そしてそれに影響を及ぼすのは「組織的取り組み」)を実証的にきれいな形で示したのは興味深いです。

*1:雑誌論文では:http://ci.nii.ac.jp/naid/120004739069

*2:「この会社では、自分の能力は、存分に発揮されていると思う」など