lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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コンプライアンスマネジメント―インテグリティ(組織の誠実性)実現のための課題(「インテグリティ(組織の誠実性)」が副題になっている実践書。)

コンプライアンスマネジメント―インテグリティ(組織の誠実性)実現のための課題

コンプライアンスマネジメント―インテグリティ(組織の誠実性)実現のための課題

和書なのだけれど、洋書(の訳本)を読んでいるような感じがする本でした*1
洋書のような、というのはポジティブな意味で、構成が論理的でかつコンプライアンス・マネジメント実践のための具体的な手引きとしての記述がきっちりなされているということです*2
コンプライアンス付け焼刃のために読んだのですが、コンプライアンス・マネジメントの一環としての(役員や従業員に対する)トレーニングについて、その教育方法が具体的に記されているところは別な意味で面白かったです*3
例えば、

  • 情報・知識を一方的に記憶させようとする”詰め込み式の教育”アプローチは効果的ではない
  • 人間の本能的学習(natural human learning)が効果的なアプローチである;そのキーワードは「好奇心」「失敗」「ケーススタディ
  • プレゼンテーション配布資料=伝達すべき情報量を多くできる重要な媒体*4
  • ただしプレゼンテーション資料を配布するだけでなく、わざと重要なところをブランクにして、参加者に補完させる方法が有効*5

などなど、これはFDの手引きか?とか思ってしまうほど具体的で役立ちそうな内容でした(笑)。

*1:著者は日本人です。

*2:不祥事発生したらどうするかの具体的手順が示されているのは、類書ではあまり見ない。しかしこういうことこそが載っていないと実際の役には立たないのではないか。

*3:残念なことに、本書で示されている教育方法のもととなる参考文献が見あたらない。

*4:口頭で一度にたくさんのことを言っても定着しないので、資料の助けを借りる

*5:「資料に対して”ある種のタスク”を与えることで参加者が資料に愛着を持つ傾向が期待できるし、何よりも理解が進む」とも書いてある。