lionusの日記(旧はてなダイアリー)

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オカマだけどOLやってます。完全版(ほろ悲しい。)

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)

オカマだけどOLやってます。完全版 (文春文庫)

どうしてこの本を読もうと思ったのか忘れましたが、多分、大学図書館の書棚で他のものを探していたら目について思わず借りてしまったのだと思います。
著者はオカマ=男性なんだけれど自分の性に違和感がある、つまりいわゆる「性同一性障害」と診断されていて、女性として社会生活(会社でアルバイトOLとして働いている)を送っているという人です(でした)*1
男と女の両方の立場を経験した人だから書けるような、「あるある、そーいうこと!」と言いたくなる細々とした生活上の事柄=*2がひょうひょうと書かれているので朝の電車の中であっという間に読んでしまいました。
しかしひょうひょうとした中に時々不意打ちを食らうところが出てきます。

「悲しいときー。買ったまんがを友だちに先に読まれたときー。
自分だけが傘をさしてたときー。
男か女かわからない人を好きになってしまったときー。
メールの返事が1行だったときー。
元気してる?また遊ぼうぜ!

著者がまだ男から女に移行しようとしていた頃、風呂なしアパートに住んでいたため銭湯に通っていて、そこで知り合った男友達(引っ越し後は次第に疎遠に)から、とても久しぶりにきたメールだそうです。

すんごいドキドキした。どう返信したらいいのか三日三晩考えて、思いきって「女になろうとしている」ことをメールでカミングアウトしてみました。

わりとすぐ返事が来た。
「そうだったのかー。俺は別にそういう趣味じゃないけど、応援するよ!立派な女を目指せ!!^_^」
お前はそうかもしれないけど、俺はちがうってば!ってことッスか。
なんだなんだ…。あの思わせぶりなメールはなんだったんだ。そして今回の、ずいぶんさっぱりした、まるで他人事のようなメールはなんなんだ。わからん。まったくわからん。

彼から来たメールはこれが最後になりました。結局、彼の思惑がなんだったのか、さっぱりわからなかった。

その男友達との間には”あやしいこと”は結局何もなかったのですが、それでも友達付き合いの中で「もしかするともしかする?*3」という感触があったこと等が書かれていたので、このメールの引用くだりでほろ悲しくなってしまいました。

*1:その後性転換手術を受けて戸籍上も女性になったそうです。

*2:例えば女として生活し始めた頃、通販でブラジャーを買ったこととか。

*3:そういう方面の関心を抱かれてる?