先生、子リスたちがイタチを攻撃しています! 鳥取環境大学の森の人間動物行動学(ますます筆はなめらか。)
先生、子リスたちがイタチを攻撃しています! 鳥取環境大学の森の人間動物行動学
- 作者: 小林朋道
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2009/07/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「先生!」シリーズ3冊目で,ますます先生はノリノリです。
夜な夜な河川敷でアカハライモリの子どもを捜し求める話で,なぜ子イモリは移動をするのに夜が多いのか述べているところで,
おそらく,子イモリを餌にしようと待ちうける捕食者も多いのだろう。候補として予想されるのは,ハサミムシ,クモ,小鳥,モグラなどである。
(ほかには,食べはしないが,手でつかまえてしまうコバヤシという動物もいる。ただし,コバヤシはいろいろ調べたあと,ゲンキデナとかなにか,わけのわからない鳴き声を発したあと,子イモリをその場に放すという習性がある。)
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あやうく,そのまま読み流してしまうところでした。
まあ確かにコバヤシ先生は「動物」の一種ではありますが。
一方,別な意味でもはっとさせられるので,それも油断できません。
私は,「モグラの行動に目と心が釘づけになっている」自分の姿をもまた,客観的に見つめているのである。そして,「なぜ私は,そんな精神や行動をもっているのか」についても考えるのである。
そのような,自分自身の行動や心の状態を意識する脳の活動は「自我意識」とよばれ,それを担う領域は大脳の前頭野にあることも大まかにはわかっている。
ふむふむ。心理でも自我自我よく言ってます。
しかし次はやはり比較行動学の先生だなと思いました。
自我意識は,もともと,個体同士のつながりが複雑になったホモ・サピエンスの社会のなかで,「相手の心を読みとる」”習性”として発達した脳活動が,自分の心に向けられるようになったものだと考えられている。自分の心や行動の状態が意識できれば,それらの整理やコントロールもしやすく,それは本人の生存や繁殖にとって有利に働くというわけである。
ここでふと,ヴィゴツキーのいう「内言と外言」を連想しました。
ざっくりいうと,ヴィゴツキーは他者とのコミュニケーションに用いられる「外言」が内面化して思考のために使われる「内言」が獲得される,と言っています。
なるほどなあ,心理学からちょっとはずれたところから見てもヴィゴツキー先生の言っていることは確からしいような気がするなあと感じた次第です。