lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

長年の事故取材の重みを感じた。

今晩のニュースウオッチ9に,航空機事故等に関する著作を数多く出されている,ノンフィクション作家の柳田邦男さんが出演され,福島第一原発の現状について語っておられました。
作業しながら視聴していたので,ウロですが,長年の取材・作家活動の重みをひしひしと感じさせるご発言が心に響いたので,メモ代わりに箇条書きで記しておきます。
今回はM9の地震とそれに続く大津波といった「想定外」の事態であったと言われているが・・・というキャスターの大越さんの問いに答えて:

  • 大きな地震津波など,何が起こっても大丈夫なように(原発などを)作るとすれば,コストは際限なくかかる。
  • 費用対効果を考えると,全く見合わないことになるので,経済性を考えるとどこかで「ここまで」(例えば江戸時代くらいまでさかのぼって調べ,せいぜい地震はM8くらいとか,津波は5mくらいまでとか)と想定するリスクに「線引き」をして,それを基準にして作ることになる。
  • しかし,その「線引き」をした時点で,(その設計は)「科学的」ではなくなる。そもそも,どこで「線引き」するかはあくまでも主観で決めているからである。→(lionusコメント)設計そのものは,「科学的」な手順でなされたとしても,その設計の前提が「主観的」である
  • 過去百年〜数百年の記録から「線引き」をしても,今回のような,その想定を超える千年に1回のことは起こってしまう。したがって,そのような「線引き」を超えた事態が起こったときにどうするのか,何ができるのか,といったことをあらかじめ考えて準備する必要がある。→(lionusコメント)線引きは主観的になされるからねえ・・・で終わってしまっては,単なる思考放棄になる。費用対効果を考えた上での線引きはいたしかたないにしても,さらにそれが破れてしまった場合の対処を用意する,徹底的な現実主義が必要。