lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

CIとBIと松本隆。

競争とインテリジェンス
リンク先でフルテキストPDFが読めます。
business intelligenceとcompetitive intelligenceの違いを読めたのがまず面白かったです。

ビジネスインテリジェンスのグルとみなされているDedijer博士は当初より競争相手の情報を取ることだけに集中するやり方に批判的

元米国国家情報協議会副議長のH.E.Meyerも競争相手の競争情報だけに焦点を当てるやり方に批判的である。
(中略)
競争相手が何をしているのかということを知ることは確かに大切ではあるが,それだけでは十分でない。
(中略)
現在の競争相手だけに焦点を合わしていると問題を起こすことになる。
lionus注:タイプライターメーカーが競争相手として想定していなかったパーソナルコンピュータの登場で致命的な打撃を受けたことを例に挙げている。
また経済的環境の下でさまざまな力が競争相手にどのような影響を及ぼしているかを把握することも大切である。競合情報の収集だけに焦点を当てるやり方は能動的でなく,受動的であり,攻撃的であるよりも防衛的である。競争相手のことも知らなければならないが,顧客の発展状況,海外市場動向,政治,経済,科学,技術分野の主要な動向を識別し,監視し,それらの情報を企業の戦略決定を支援するために経営首脳に伝達することこそが大切だとマイヤーは強調している。

BIについての概論的論文で,へえと思うことが沢山ありました。
国際スパイ情報システムのエシュロンについては「ひえ〜」と声をあげてしまいました。*1
で,この論文をさらっと読んだ後,晩遅くにNHKで「佐野元春のザ・ソングライターズ松本隆 Part2」」という番組の終わりかけの頃を,ぼんやり見ていたら,会場の学生との質疑応答での松本隆氏の発言でちょっと重なるものがあり,おおっと思いました。
SFCのスマートに賢そうな女子学生さんが質問の中で,「売れる曲(詞)を作られているという点で,マーケティング的な視点からもうんぬんかんぬん・・・」みたいなことを言っておられたのですが(記憶はあいまいですが,”マーケティング”という言葉は確かに使っておられました),それに対する松本隆氏の発言が,さらり&訥々とした雰囲気に紛れながらもサクっと一刀両断でした。
マーケティングとかって,売れている曲を研究するとしてもさ」
「その曲は3ヵ月くらい前かに録音されているわけで」
「そしてそれが作られるのは1年くらい前の時点なわけで」
「だとしたら,こんな曲が売れるんだと追従する時点で,1年遅れになってしまうんだよね」
マーケティングとかいっても結局後追いじゃないの」
「(売れるものを作るためには)結局は自分のアンテナを張るしかないんじゃないかな,感性なんじゃないかな・・・」
逐語記録じゃないので,内容の正確性はナンですが,大意はこんな感じでした。
先述の論文で,競争情報よりもビジネスインテリジェンスによる大局的な情報判断が重要という話に通じると思いました。
そして,多分他の学生さんから「どんな本を読んだら(松本隆氏のように)感性が磨かれますか?」みたいな質問が出た時も,やんわりサクっと一刀両断。
「どうしたらっていってもさ」
「僕,1日に1本映画を観てた頃があってさ・・・1年に200本とか」
「あと,小さい頃,図書館の本の棚のここからここまで全部,読んでやろうとか,友達と競争したりとか」
「最初から,これって決めてしまうより,ともかく何でもっていう方がいいんじゃないかなと思う」
感性なんて,「何を読んだら(観たら)高められますか?」なあんて,受け身な甘ちゃんだなあ。そんな手っ取り早く高められるもんじゃないよん,ふふふん,って感じです。
凄い(怖い)ヒトだなあと思いました。

*1:自宅だったので。