心理学のための実験マニュアル―入門から基礎・発展へ/心理学基礎実習マニュアル(全面リニューアル。)
言語聴覚士の養成校で,「心理測定法」の授業を何年間か担当させていただきました。
当初,依頼があったときに,STS対象の「心理測定法」の授業のイメージが湧かず,どうにも苦労したのですが,一番困ったのは,教科書をどうするかでした。言語聴覚士が国家資格化してから何年も経ったので,最近はひょっとするといい本が出ているかもしれませんし,自分の探し方が悪かったのかもしれませんが,当時探した時にはこれといったものが見つかりませんでした。心理学専攻の学生を対象とした「実験マニュアル」的なものとか,質問紙法など,特定の心理学研究法に特化したものであったり,あるいは心理統計処理法を説くのがメインであったり,はたまた,各種心理検査の解説・マニュアル的であったり,どれもこれも1冊でこれ!というものがなく「帯に短したすきに長し」という感じでした。
その中で,異彩を放っていたのは,この本です。
- 作者: 利島保,生和秀敏
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 1993/04
- メディア: 単行本
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面白いのが,学生の手書きのレポート(ミュラー・リヤー錯視)に添削ツッコミを入れたものの縮小コピーが掲載されているところです。生々しくて素敵です(笑
授業担当初年度からずっと教科書として指定し続けたのですが,とうとう2009年3月に全面リニューアルされました。
もしかすると,以前このことは日記に書いたかもしれませんが,記憶にありませんので,とりあえず書きます。
- 作者: 宮谷真人,坂田省吾,林光緒,坂田桐子,入戸野宏,森田愛子
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2009/03/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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まだ上記旧版は入手できるようですが,在庫が無くなり次第,「絶版」となってしまいますね。
旧を知っている人にとって,連続性が途切れてしまっているのではないでしょうか。それは他人事ながら少々心配です。
幸い,これが後継だと献本いただいて,しばらく積ん読でしたが,最近「心理学研究法」という授業のシラバスを作成する際に,さらっと読んでみました。
いいですねえ。以前は実験系・基礎系メインで心理検査とか調査法は全然だったのですが,心理学実験や調査実習の授業で必要なことがかなりカバーされている感じがします。その代わり,載っている心理学基礎実験の種類は減りましたが,学部ではあまりしそうにないものが載っているよりも,ポピュラーなものが厳選されている方がコストパフォーマンス的にはよいと思うので,納得できます。
以前は使われている言葉もやたら難しくて,lionus猫には目が滑りまくりでしたが,この新バージョンでは(それでもやっぱり難しいのですが),割と「モダン」な記述になっています。
lionusは実験系ではありませんが,読んでいると楽しいです。あ,というか,バリバリの実験系を横から眺めていたクチなので,楽しいのかも。