lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

言葉の解釈が場所によって違う。

以前から、「情報」という言葉をどのように解釈(定義)するかにより、「情報教育」の意味するところが人(研究者;学会等の集団)によって違ってくるため、議論をするとうだうだのわやくちゃになり、場外乱闘へともつれ込むことを、「情報教育系」の周縁に居るlionusは悲しく思っております。
先日、informationstudy MLに告知が流れたのを見て、第56回日本図書館情報学会研究大会シンポジウム「情報リテラシー教育と図書館−図書館情報学における研究の意義と課題−」を聴講してきました。lionusは当学会の会員ではありませんが、シンポジウムだけなら参加無料だったので、奈良遠いなあと思いつつ出かけてきました。
休日の午後をつぶして行くだけの価値はあったと思います。個人的には。
情報リテラシー」という言葉の定義が、lionusが参加している「情報教育系」の集団とは全然異なる状況を見てくることができたからです。
図書館情報学における正確な定義とはもしかすると違うかもしれませんが、当該分野における「情報リテラシー」とは、必要な情報を認識し、効率的に検索し、そして効果的に(レポートやプレゼン等に)活用できることを指すようです。
え、これなら別に「情報教育系」の集団の考えとは違わないのではないのか、と思われると思います。
lionusが感じたのは、近年のコンピュータ(インターネット)の発達により、「情報」をコンピュータ(インターネット)を利用して検索し、得ることはあるかもしれませんが、あくまでもコンピュータは多様なメディアの中のひとつであり、例えば従来の紙メディアにとって変わるとか、優先される、勝るなどということはなく、主目的は情報の検索と活用だということです。活用というところで、コンピュータを使って(例:PowerPointを使って)情報をまとめるということも多いにあるかもしれないが、そうでない場合もあるということだとも感じました。
昔むかし、lionusが学部4年だったか、M入学後だったか、「司書教諭」の資格取得のための講習を受けに行っていた頃のことを思い出しました。*1なぜ「司書教諭」など取ろうかと思ったかというと、問題解決のために必要な情報を認識し、それを確実に調べて(検索して)まとめられる能力こそ、汎用的な学力のひとつであると考えており、どの学年段階でも養成が必要なものであると感じていたからです。
そのことを、司書教諭の講習を探している途中で関係する教員にお会いする機会があった際に、学生の分際で語ってしまったところ、「フッ」と笑われてしまったことを思い出しました。
随分長い間忘れていたのですが、自分の考えていることは駄目なことなのかと少々トラウマになったのでした。
でも、長い長いブランクを経て、図書館情報学会という「本丸(多分)」で昔自分が妄想していたこととほぼ同じことを聴くことになるとは思わなかった、と気の抜ける思いでした。
ところで、帰宅してからRSSをチェックしたら、のーん先生の「パソコンで調べ物学習、止めました。」という記事を拝見して、情報活用能力育成支援に入られている専門家の方も、そろそろこのようなことを書かれるようになったのか、と少々驚きつつもトホホな気持ちになりました。

インターネットの検索を使った調べ物学習は、
実は、そんなに 調べていない のです。
調べたいとされる言葉を入力する、作業になっています。
検索結果の一番最初に表示されるページを開き、
印刷して提出するだけ、です。
頭、そんなに使っていないのです。

http://chairo.tea-nifty.com/blog/2008/11/post-9f49.html

子どもは、学習者です。
育つ過程にいる者に、初めから楽をさせるのは是か非か?
多彩な調べる機会、まとめる機会を用意して実践する、
そうした経験を経て身に付けた力があることを前提に、
楽をしようと考えるのが普通の流れに思います。

http://chairo.tea-nifty.com/blog/2008/11/post-9f49.html

楽するのは決して悪いことではないと思います。
効率的というのは結果として楽に通じることもあるからです。
しかし、上述の図書館情報学の立場からすると、検索する情報はインターネットに限定されないし、されるべきではないので、インターネットに依存した「調べ物学習」はNGです。
情報はネットでちょろちょろっと検索すれば得られないものは何もない、と小さい頃から思わせてしまうことが最も良くないことではないか、と記事拝読して感じました。

*1:夏季に限られた大学での講習だったので、少々不便なこともあり色々取りまぎれてしまい、残念ながら未だ単位取得完了していません。