lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

無理だ!

新学期が始まり,全ての非常勤先で1回目の授業が終わり,2回目の週の真っ最中です。
今年度から新たに担当する科目が1つ,以前担当していたことがあるが,しばらく担当していなかった科目が1つ(3クラス)増えました。
前者は,他の大学で使用しているテキストと同じものを使っているので,授業内容はある程度使いまわしができる上,学生さんの資質がかなり温順なので,60人近くを1人で相手していても授業進行にはあまり問題はない状態です。*1
しかし,後者が曲者なのです。同一科目で3クラスなので,授業内容を使いまわしができるのは助かるのですが,学生さんの資質が今後の前途多難を感じさせる状態なのです。
今までの経験から,教室での振舞いが人格全体を示すとは限らないとは分かっているのですが,一部には「これでコンビニバイトの面接とか行ったら速攻落とされるのではないだろうか」と心配になってしまう人もいます。しかもこの学校ではTAがつかないので,中間モニタに教師画面を映し口頭で説明しながら実習をさせるという従来のスタイルでは授業が成立しないことが必至のように思われました。
同じ学校の同一科目を以前担当していた頃(その頃もそれなりの教育困難はあったのですが)との落差に暗然たる思いをしつつ,仕事ですから何とかしないといけないと考え,思いついたのは,昨年ときどき使っていた動画教材を利用することでした。

ビューレットカム 日本語版

ビューレットカム 日本語版

昨年は,「表の作り方」など汎用的なミニ動画教材をいくつか作って提示してみたのですが,学生諸君にとってはあまり役に立っているようには見えませんでした。
今回は,授業で扱う課題の作成手順を全てキャプチャし,いくつか補足の吹き出しを追加するという形式のものを作成してみました。
課題の作成手順を一気にキャプチャするとひとつの動画が長くなり過ぎる(サイズが大きくなり過ぎる)ため,プロセスを適当に分割して,複数の動画教材を作成しました。そして,HTMLでインデックスファイルを作り,そこからswf形式の動画教材にリンクし,見られるようにしました。
昨日と本日は,Wordでの文章作成を扱ったのですが,動画教材の見方を説明し,あとは各自作業に任せました。lionusは個人サポートのため歩き回りました。
lionusの説明だけで動画教材を見てWordファイルを操作する要領を飲み込み,10分程度で何もかも終えてしまう学生もいる一方,何をしたらいいのか分からず,ただ座っているだけの学生もいます(こちらの方が数が多い)。後者の学生には個別に声かけをして,何とか(無理矢理?)課題をこなすための作業をするように促すことに終始しました。
大変といえば大変なのですが,声をはり上げてなかなか通らない一斉教示をするよりも,ずっとこちらの方が自分自身の精神衛生にはよいように感じました。
結果として,クラス全員が授業時間内には用意していた課題は終えることができたのですが,ひとつ予想外の非常に有難い出来事がありました。
自習用動画教材があるとはいえ,4,5人から一度にヘルプの声が挙がるとlionusひとりでは対応できません。仕方がないので待ってもらって,順番にひとりずつ対応するのですが,そのうちクラスの中で課題を済ませた学生が,他の同級生を助けている状況が自然に発生していました。受講生に頼るのははなはだ不本意(申し訳ない)なのですが,自分の課題が終わったらさっさと帰ってしまうのではなく,友達を助けてあげるという人間関係が(1年生のこの時期に)出来ているというのに非常に感銘を受けました。
今後この方法がどこまで通用するのか,考えたら胸が痛くなる気がしますが,とりあえず続けてみようと思います。

*1:確か来週からはTAが1人ついてくださるそうです。