lionusの日記(旧はてなダイアリー)

「lionusの日記」http://d.hatena.ne.jp/lionus/としてかつてはてなダイアリーにあった記事を移転したものです。

アニマルセラピー(2)。

個人的メモ。獣医系の雑誌には多数あるが手がまわらず。

  1. 渡辺ら(1998):ペットの飼育とパーソナリティ : ペット飼育の有無とペットへの態度によるパーソナリティ・対人行動・ストレスの差異の検討
    • ペットの飼育者・非飼育者間に有意差が存在した尺度は,ペット尺度のみ(飼育>非飼育)。→当たり前といえば当たり前の結果です。
    • ペット尺度得点高群は情動的依存性が高いがコーピングがよく行われており,他者やペットに情動的に依存しながらコーピングしている可能性も。
  2. 藤崎(2001):人はペット動物の「心」をどのように理解しているのか:犬・猫・小型哺乳類・鳥類の飼い主と飼育経験の無い人への質問紙調査から
    • 「他者を心的に理解する我々の心の働きが,異種の動物の中にも「心」を感じ取り,絆を形成するのに重要な役割を果たしていると考えられる。」
    • 「犬を飼ったことのない人は実際の飼い主よりも,犬に複雑な感情が存在し,また自分の「気持ち」や「欲求」そして時には「考え」を犬は理解してくれていると考えている」
    • 「動物の飼育経験の無い人の方が,実際の飼い主よりも動物を物理的にも人格化する」
    • これ以降同様な路線でさらに論文あり。観点が独特。要チェック。
  3. 杉田(2002):日本人のペットの存在感に関する一考察―日本版General Social Surveys(JGSS)第2回予備調査のデータを基に
    • JGSSサイトあり。アメリカのGSSのような社会調査データアーカイブになるのかな?
    • ペットの存在感の認識:女性>男性
    • 同性間においても年齢による差が見られた(40代女性>30代女性)
    • 「ペットとの相互作用に費やす時間とペットの擬似人間化が影響しているのではないかという仮説が導き出された」→空の巣症候群を連想。か,悲しい。
    • 同著者・同論集で以後2論文あり。
  4. 磯邉・前田(2003):イヌとの接触が気分およびイメージに与える影響について--好悪感情という観点からの検討
    • 5分間のイヌとの接触前後で気分・イメージ(質問紙)および心拍・呼吸を測定,比較。
    • イヌが苦手であると思っている人でもイヌに触れることにより抑うつ的気分が改善されることが示唆された(興味深い)。
    • イヌに対し恐怖感を持っている人のイヌイメージは変容困難の可能性。このような被験者に対する動物介在療法の適用は慎重に検討される必要あり。
  5. 佐藤ら(2004):動物介在療法が著効を示した難治性境界性人格障害の1例
    • ネコを飼ってもらう・・・この場合”療法”と称することができるかはやや疑問ですが,結果オーライな事例でしょうか。
  6. 桜井(2003):動物の心身症 : 問題行動
    • 「社会環境の変化が,人とペットとの密着度を高めている。伴侶動物の存在は,人にやすらぎや安定した精神状態をもたらすことが報告される一方で,伴侶動物の側の心因性疾患(心身症)や問題行動が動物医療現場において増加し,カウンセリングや治療対象となっている。」
    • ストレスで抜毛するネコ,飼い主の話しかけを求愛行動と勘違い(?)し,頻繁に卵を生み卵詰まりのセキセイインコ・・・う〜ん。